腸内フローラのバランスが持つ重要性―2つの防御機構

 

人の腸内フローラにいる善玉菌には、食物繊維その他の大きな分子を生体が利用できるように、より小さな分子の栄養素に分解することによって、人々をサポートする働きがあります。善玉菌はさらに、排泄物や毒素を取り除く役割も果たします。腸内フローラの(生命維持に役立つ)共生菌と(病気の原因となる)病原菌のバランスの理想的な比率は80:20です。病原菌が増えてこの割合を超えると様々な問題が起こり始めます。

 

  1. まず、腸内フローラには2つの防御機構があります。第一に、体内に入ってくる環境毒素を検知することによって体内環境を調べます。塵や埃、化学物質、動物の毛や花粉などの環境的要因が粘膜に接触すると、共生菌がそれに気づいて反応します。病原菌がたくさんいると、この仕組みが阻害されます。
  2. 第二の役割として、免疫活性化炎症反応を司っています。第一の防御機構が損なわれて、人体が環境要因を解読、判別できなくなると、この第二の防御機構が急激に活発になって、自己免疫反応を引き起こします。個々人の遺伝的傾向にもよりますが、その結果、喘息、アレルギー症、関節リウマチ、多発性硬化症、橋本甲状腺炎(慢性甲状腺炎)またはグレーブス病(バセドウ病)、線維筋痛症、クローン病などの病気を引き起こすことがあります。

 

それでは、人体のシステムはどのようにこの自己免疫反応を引き起こすのでしょうか? 人の胃腸壁と腸間膜リンパ節は腸管関連リンパ系組織(GALT)と呼ばれていますが、この中にある健康な粘膜には細菌(微生物)が深く入り込んでいます。この粘膜は、分泌型免疫グロブリンAIgA)と呼ばれる重要な免疫グロブリンによって、免疫調節機能において強力な役割を果たしています。この粘膜が病原菌に支配されると、分泌型IgAレベルが低下して免疫調節機能が影響を受けます。さらに、病原菌から出る毒素排泄物が血流中に分泌されると、反応性の免疫反応を引き起こし、その結果、組織に炎症が発生します。自己免疫反応はよく、この仕組みによって引き起こされます。

 

したがって、望ましくない毒素が腸壁を通って血流中に侵入するのを防ぐ障壁となる、豊富な善玉菌のコロニーを腸壁の粘膜上に擁することが重要となります。この種の善玉菌のコロニーはこのほか、有害な細菌の成長を阻止する酸も生産します。

 

加工食品、砂糖、様々な医薬品、フッ素化合物、塩素、人工甘味料、アルコールその他の化学物質や産業廃棄物が体内に取り込まれると、粘膜上の善玉菌のコロニーが破壊され、腸壁内の細胞間の結合を弱める原因となります。これが起こると、病原菌や真菌の日和見感染の危険が高まります。さらに、大きな分子その他の毒素が、腸内の細胞壁を透過しやすくなり、それらが血流中に侵入して体の他の部分に問題を引き起こします。